公益財団法人 医療科学研究所

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PROJECTS医研の事業

産官学シンポジウム2017

ASEANにおける医薬品アクセス問題と企業進出
-ベトナムでの調査を踏まえて-

2017年の産官学シンポジウムは、2015年の「新興国、発展途上国における医薬品アクセス問題と医療関連企業進出の課題」に始まるシリーズの3回目で、前回のインドネシアに続いて、今回はベトナムでの現地調査報告を踏まえた情報提供がなされました。その国特有の課題を踏まえながら海外進出を図り、持続的に事業展開していくための多くの具体的なヒントを、このシンポジウムを通じて得ていただけたなら幸いです。
事務局編集による各講演内容の要約は、次の通りです。

※講演録は、機関誌『医療と社会』(Vol.27,No.2 2017年9月発刊)に掲載しています。

開催概要

日時
2017年5月20日(土)
会場
全社協・灘尾ホール
東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビルLB階
主催
公益財団法人医療科学研究所
後援
厚生労働省

プログラム

開会挨拶 公益財団法人 医療科学研究所 理事長 江利川 毅
来賓挨拶 厚生労働省 医政局経済課長 大西 友弘
座長基調講演 帝京平成大学 薬学部 教授
公益財団法人 医療科学研究所 理事
白神 誠
ベトナム調査報告 日本大学 薬学部 薬事管理学研究室 助教 中島 理恵
講演 日アセアン経済協力委員会 事務局長 山室 芳剛
独立行政法人 国際協力機構
人間開発部 技術審議役
金井 要
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター
国際医療協力局 運営企画部 医師
伊藤 智朗
日本製薬工業協会 国際委員会 幹事
APAC実務者会議 議長
長岡 秋広
パネルディスカッション
閉会挨拶 公益財団法人 医療科学研究所 専務理事 戸田 健二

(敬称略)

座長趣旨説明

帝京平成大学 薬学部 教授
公益財団法人 医療科学研究所 理事
白神 誠

日本の医薬品市場が伸び悩むなか、海外への進出が期待されている。開発途上国へ出て行くべきという議論が盛んに行われているが、実際はそれほど簡単な話ではない。まず先方の情報を知る必要がある。そうした情報を提供することもこの医療科学研究所産官学シンポジウムの大きな役割のひとつと考え、3年前より活動を行っている。
10カ国で構成されるASEANの総人口は6.2億。巨大な医療関連市場となる可能性を秘めている。そのASEANから、昨年はインドネシア、今年はベトナムを取り上げ、現地調査を踏まえて報告している。私感ではあるが、そうした国々に単純に進出してみたところで、ジェネリックも含め価格の面では勝負にはならないだろう。しかし、医薬品とそれに付随する何かをセットにして提供することができたなら、その問題も克服できる可能性がある。昨年のシンポジウムで、途上国においては薬の適正使用の優先順位が低いという印象を受けた。振り返ると日本も数十年前は同じような状況にあったわけで、それから日本の製薬メーカーは薬に加えて「情報」を売るというスタンスで今の地位を築いてきた。その意味でも「ソフト」をセットにして進出を図ることは、とりわけ途上国では重要なことと言えるだろう。

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ベトナム調査報告

ベトナムにおける医薬品の適正使用の状況と
医薬産業進出の可能性
~現地調査報告~

日本大学 薬学部 薬事管理学研究室 助教
中島 理恵

外務省、厚生労働省、JICA、製薬協への事前ヒアリングを踏まえ、2017年3月にベトナムのハノイ市を訪問。ベトナム保健省の関連部署を中心に、WHOベトナムオフィス、バクマイ病院(国立病院)、市内の薬局、そして既にベトナムに進出している日系企業に話をうかがった。

経済成長が著しいベトナムでは、近年、少子高齢化が進んでいる。慢性疾患の増加が続いており、がんの死亡率や、都市部では小児の肥満や精神疾患の増加が指摘されている。都市部の大病院への患者集中が深刻で、バクマイ病院では一日平均4,000人の外来患者があり、数年前は診察までに2日間もかかり、待合室で夜を明かすケースもあったという。集中の原因には、レベルの高い医療従事者や医療機器が都市部に偏在していることが考えられる。

ベトナムでは処方箋薬は処方箋なしでの購入が一般的であり、最貧困層の医薬品アクセスの問題も指摘されている。さらに、偽薬や基準に満たない医薬品も存在するようだ。また、この国の特徴として医薬品が高額という点がある。後発品に関しては、国内で普及している約40~50%は後発品で、アムロジピン錠5rを例とすると1錠の価格は、先発品が日本円で約40円に対し、後発品は1/10の約4円だった。医薬品の適正使用を進めるための取り組みとして、都市部の大病院で医薬品安全を担う看護師や薬剤師の育成、副作用報告制度の確立が行われている。ちなみにバクマイ病院では年に約300件の副作用報告があるが、薬局等の地域レベルではほとんど把握できていないのが現実である。耐性菌問題は国の優先課題であり、その背景として基準に満たない粗悪な抗菌薬の蔓延、脆弱な院内感染対策、処方箋なしでの抗菌薬の売買、農業分野での抗菌薬の過剰使用、さらには耐性菌のサーベイランス能力の低さといった問題がある。

日本の医薬品産業進出の余地について。まず、ベトナム政府は政府調達の75%の医薬品を国内生産の後発品に変更すると宣言している。しかしベトナム人は健康や医療に対する投資意識が高く、現在ブームとなっている健康食品分野への進出等の可能性はあると感じた。また、慢性疾患治療薬のニーズや、抗がん剤もチャンスとして視野に入れる必要があるだろう。新薬の製造・販売許可や医薬品の特許については特に問題はないとの事である。なお、現地のインタビュー先で日本の製薬企業に期待する点を聞いたところ、医薬系学会やシンポジウム開催の援助、医療事業者向けの勉強会(テーマの提供など)、人材育成のための奨学金などの回答があった。

今後、ベトナムへの進出を検討している医薬系企業は、単に医薬品を供給するだけでなく、医薬品の適正使用を含めた、よりトータルなサービス(医薬品の品質の確保、適正使用の推進をリードする人材の育成)をもって進出することが望ましい。

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講演1

日本政府の産業育成:医療の国際展開を中心に

日アセアン経済産業協力委員会 事務局長
山室 芳剛

ベトナムはじめASEANは、近年ますます重要な役割を担うようになってきた。日本と周辺諸国の関係を考えたとき、ASEANとは外交、経済、医療など、あらゆる分野で協力を深めていく必要がある。そんななか、日アセアン経済産業協力委員会は、日本とASEANの経済大臣会合の下、産業支援策などを具体的な事業として実施している。2014年にはヘルスケア産業に焦点を当てた官民対話も行った。

医療を国際展開するうえでは、わが国の優れた医療技術・サービスを通じ、世界各国が抱える社会問題の解決と、拡大するヘルスケア分野の需要・市場の取り込みを同時に実現していくことが基本方針となる。「日本再興戦略」にも、新興国を中心に日本の医療拠点を2020年までに10か所程度創設し、2030年までに5兆円の市場獲得を目指すことが記載されており、ここ数年、海外への拠点づくりに力を入れている。

国際展開にあたって経済産業省では、事業性調査、案件形成、事業化という3つのフェーズで支援措置を講じている。調査フェーズで、現地に日本製医療機器を持ち込んでのデモンストレーションや、日本人医師を派遣して日本製医療機器を用いた現地スタッフのトレーニングなどを実施。その後、案件形成に向け、事業計画・収支計画立案、現地事業パートナー選定、運営体制の構築といった支援を行っている。事業性があると判断されたら、各省庁と協力し、外交ツール、人材育成、薬事規制などの制度、資金調達、現地ネットワークの構築など、あらゆる面から支援を行う。こうした活動により、北原国際病院がカンボジアに設立した救命救急センターや、日本消化器内視鏡学会とオリンパスがインドネシアに開設した内視鏡医療センターなど、さまざまな成果が上がっている。ベトナムを含む新興国における国別の報告書が経済産業省のホームページに公開されているのでご一読いただきたい。

海外展開における案件形成、事業化のためのご相談にも積極的に応じているので、商務情報政策局ヘルスケア産業課までご連絡をいただければと思っている。また、日本企業とASEAN企業の協働による実証事業や、新産業におけるマッチングの場の提供支援などを行う「日ASEAN新産業創出事業」も行っている。一次公募にはベトナムでの医療ビジネス実証事業の提案もあった。今夏以降、二次公募を行う予定なので、窓口となっているJETRO途上国ビジネス開発部までコンタクトをいただきたい。

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講演2

ASEAN、特にベトナム国際事情と日本の国際協力

独立行政法人 国際協力機構 人間開発部 技術審議役
金井 要

日本はASEAN(東南アジア諸国連合)に属してはいないが、ASEAN + 1、ASEAN + 3で、+日本、+日中韓として協力している。最近のASEAN +1 の課題はUHC(ユニバーサルヘルスカバレッジ)や高齢化、福祉である。

ASEANは10カ国からできた一つの経済圏で、加盟各国の人口や面積はさまざまで、ラオス、カンボジア、ミャンマーのLDC(低開発国)から一人あたりGDPが日本より高いシンガポール、ブルネイまである非常にバラエティに富んだ多様な国々。平均寿命をみるとその国の医療レベルがある程度推測できる。ASEANとEUと比較すると、面積は両方とも日本の13倍程度で同じくらいです。人口はEU 5.1億人、ASEAN 6.2億人とASEANのほうが多いが、ASEANのGDPはEUの約1/10と大きな差がある。

ベトナムの医師数は人口1,000人に対し1.19人(日本は2.45人)、看護師数は同1.24人(日本は7.44人)。看護師は日本と比べてはるかに少なく、またベトナム国では看護師の方が医師より少ない。これは医療体制の違い以上に、看護師の役割が限られているせいだろう。ベトナムでは患者の世話や食事の準備を患者家族が行うことが多い。病院食の提供や栄養士の育成もベトナムの課題のひとつとなっている。

妊産婦死亡率は日本の約10倍、5歳未満児死亡率を見ると約50人に1人は5歳を迎えることができない。平均年齢は約30歳と若く、一方で多くの高齢者も抱えている。こうしたことからベトナムでの医療ビジネス展開にあたっては、子どもや高齢者に目を向ける必要もあるのではないか。なお、近年ベトナムでは糖尿病、腎不全から透析治療の必要性が高まっていると聞いている。

JICAが行ってきたベトナムへの支援事例を紹介する。チョーライ病院、バックマイ病院、フエ中央病院の3病院に対しては、医療システム強化と人材育成支援を行った(チョーライ病院は継続中)。これら病院を拠点とするベトナム全体の公的医療機関のレベルアップにも努めている。国立衛生疫学研究所(NIHE)、麻疹ワクチン製造センター(POLYVAC)での国内での子供へのワクチン製造などの事例もある。

JICAは、子どもが生まれる前から小学校くらいまでの記録が一貫してとれる母子手帳の普及にも力を入れている。UHC(ユニバーサルヘルスカバレッジ)達成に向けては、2020年までに80%以上に健康保険に加入されることをベトナム政府は目指している。適切な医療が適切な自己負担で受けられるようなシステムづくりに協力している。

看護人材については、カンボジア、ラオス、ベトナムなどで、国立国際医療研究センターと協力して法律整備を支援してきた。看護師の卒後臨床研修などの全国展開はベトナム全体での看護師の質の向上に役立っている。

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講演3

ベトナムの医療の現場と医療人材

国立研究開発法人 国立国際医療研究センター
国際医療協力局 運営企画部 医師
伊藤 智朗

なかなか見えてこないベトナムの医療現場の実態を把握するためには、会議室などでの報告を聞くよりも、現場に入り込んでいっしょに働きながら観察したり、最終的な受益者である患者から意見を聞くことなど直接的なモニタリングや、医学的に信頼性の高い客観的なデータを取るのが有効だ。

社会主義国家ベトナムの医療ヒエラルキーはきれいな三角形(トップレファラル(中核病院)、省病院、郡病院、ヘルスセンター)になっており、国公立病院が医療の中心となっているが、全般的に医療従事者は患者のニーズを考えたサービス提供など医療サービスにおいて重要視すべき点が欠けている傾向が見受けられる。医療保険加入率は8割程度と高い一方で、保険適応を無視してトップレファラルはじめ上位機関に患者が集中する傾向があるのは、自己負担が増えても少しでもましな医療を受けたいという患者の要望によるものである。トップレファラルにおいては、1床を2、3の患者で使用したり、廊下に病床を並べるなど、カオス的な状態が見られる。このような混雑のなか、医療の質を向上させるためにはさまざまな課題を解決していかなければならない。

トップレファラルにおけるインターベンションは日本の病院とそれほど差はなく、疾病構造も先進国に近い。高度な医療に取り組もうという方向性はあり機器や物品の需要は大きいと言える。ただしコスト意識が強く、比較的安価なものが選ばれる傾向にある。また、ヒエラルキーの下位の病院ほど資金の流れは減少し、とりわけ優秀な人材が届きにくくなる。

現場の医師の思考ベースは日本と変わらないが、保健省の指示待ち、援助頼みの意識がある層も存在。一方、ベトナムの看護師・助産師は手技や処置など本邦の看護師と比べると医療寄りの仕事を行い、本邦の看護師がメインの仕事として行う、いわゆる「患者ケア」はほぼ行われていないのが実情。では誰がケアするかというと、それは患者家族である。

保健省が指摘する医療機関の問題としては、医療事故、院内感染、医療従事者のコンプライアンスの悪さ、医療機器の管理の不備などが強調されている。現場を観察すると、機器は整っていながらも、例えば心電図が拾われていない、あるいはほっておかれていることもある。気付いていても気にしないというコンプライアンスの問題が大きい。

ベトナムの医療現場では、例えばカルテの記載では決められた項目を決められたように記録するのは得意だが、患者の状態把握・適切な治療選択のために必要な情報を考えて記録するのが苦手のようだ。同様に、上から指示された通り職員研修を実施することが得意な反面、自分で考えて勉強するのは苦手。マネジメント面での教育は得意だが、現場レベルでの改善は苦手と感じられる。的確な患者モニタリングと個別の治療方針、患者家族への病状説明、インフォームドコンセント、患者プライバシーの考慮などはいまだできていないケースが多い。病状説明や薬剤の投薬方法などについては、患者をターゲットとしたわかりやすいイラスト付きの説明ツールなどがあればたいへん喜ばれるのではないか。患者もそうした情報を欲しておりニーズは大きいと考える。また、日本では病院の看護師がやるような仕事も患者家族の仕事なので、モニタリング機器、介助機器、投薬のツールなどにおいては専門教育を受けていないものでも使えるように意識したものを提供するなど、患者家族もターゲットと考えたアプローチも有効であろう。ベトナムは政府主導で医療政策を推進している国だが、いかにしてボトムアップするかが課題。そのスコープには患者や患者家族も含めるべきで、そのほうが効率的だろうと実感している。ベトナム国民の健康志向は高く、多少金額を払ってでもよりよいものを求める傾向がある。そのため医療提供の主体である国公立病院でもプラスアルファの金額を払うことにより使用できるエリアを設置し、より良いサービスを提供するという試みがみられているが、一方で今後は同時にEquityの面からの担保を行うのが大きな課題だ。

国公立病院の運営においては政府の財政支出が減る代わりに、病院運営の自由裁量の幅が拡大し、やりたいことができるようになってきたのは現場の医師たちには歓迎されており、それが医療サービスの質の向上につなげられている医療機関も存在する。インセンティブも考慮しながら、現場のイマジネーションがかき立てられ、ボトムアップの力を誘導するような政策が求められているように思う。

ベトナムには薬局が多いが、抗生物質をはじめ劇薬レベルの医薬品でも処方箋なしでやりとりされている。法規制されているが機能していないのが実情。大病院の受診者約1,600人に調査した結果、315名(約18%)の患者が受診前に薬局にて自身の判断で抗生物質を購入・内服。また、673名(約40%)が普段、抗生物質を薬局で購入するという回答だった。

日本企業がベトナムで事業展開し、価格面だけではない比較優位性をだすためには「日本らしさ」が必要。ベトナム社会ではやりすぎと思われるようなことでも、日本独自のサービスをもっとアグレッシブに押し出してもいいのではないかと考えている。ベトナム社会において、そのような「日本的なサービス・クオリテイ」を求めている層は少なくない。

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講演4

アジア製薬団体連携会議(APAC)の内容、
その狙いと今後の展望

日本製薬工業協会 国際委員会 幹事
APAC実務者会議 議長
長岡 秋広

APACは「革新的な医薬品をアジアの人々に速やかに届ける」というミッションを実現するために、アジアの製薬12団体、規制当局、アカデミアが一同に介して、互いの立場を超えて建設的な議論を行う非公開の国際会議として、2012年、製薬協がリーダーとなってスタートした。現在ベトナムはAPACの正式メンバーではないが、規制許認可の専門家作業部会では昨年から活動を共にしている。APACは立ち上げ当初から研究開発と規制許認可を主要テーマと位置づけ、それぞれに専門家作業部会を設置して活動している。それと並行して昨年からは製薬協内に新薬アクセス作業部会が活動中。規制許認可においては、Good Registration Managementを構成する規制側の規範(Good Review Practice)に加えて、APACが提案した申請者側の規範(Good Submission Practice)がAPEC規制調和運営委員会に承認されるという成果が得られた。

製薬協国際委員会実施計画に示された3本柱「国際展開」「国際協調」「国際貢献」のうち、APACは国際展開に関係。APACはアジア各国に共通する課題の抽出とその解決に向けた活動を、一方、厚労省・PMDAが主導するアジア各国との二国間会合では各国共通の課題に加え、その国特有の課題解決に向けた活動と、官民連携で取り組んでいる。ベトナムとの二国間会合も今後実施する可能性が高いと考えている。APACの活動は製薬協会員企業各社の多大な貢献によって支えられている。

第6回APACの内容と成果について報告する。審査期間と製造所のGMP適合性確認期間の短縮化に加え、各国ごとに異なる書式の共通化による申請者側の書類作成期間の短縮化にまで踏み込み、SMF(Site Master File)テンプレート共通化に向けた議論を行った。その結果、①規制監督庁と業界が協力し、共通のSMFテンプレートを作成する、②PMDAがリーダーとしてSMFのドラフトを提供し、PIC/S副会長と協力のもとディスカッションを継続する。③本会議参加の規制官庁は3か月以内に、そして業界は6か月以内にテンプレートの評価結果をPMDAにフィードバックする、というコンセンサスが得られた。

創薬連携においては、①専門家作業部会は、研究シーズに関する情報共有、開発分野のBD活動ネットワーキングといった既に構築のプラットフォームも活用して、国境を超えたオープンイノベーションを推進する、②専門家作業部会は製薬協研究開発委員会と連携して、天然物の創薬応用をサポートするガイドラインづくり、パイロットプロジェクトの立ち上げといった取り組みを行い、天然物の創薬研究における可能性を最大化する、というコンセンサスに至った。

そして、規制・許認可については、①アジアにおけるGRM(Good Registration Management)トレーニングの推進、②アジアにおける規制環境の整備を実現するためのサポート、というコンセンサスが得られた。

APACのビジョン実現のためには当局側の理解と支援が不可欠。APACの活動が多忙なアジアの当局関係者から評価・支持されるには厚労省・PMDA・日本大使館と密に連携したオールジャパン体制での取り組みが不可欠。日本の官民がアジアでリーダーシップを発揮してAPACや二国間会合の取組みに対する評価を高める事は、アジア各国で事業展開している日系製薬企業のプレゼンス向上に直結するだけでなく、これからアジアに進出しようと奮闘する製薬協会員企業の支援にもつながるものと考える。

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パネルディスカッション

パネルディスカッションのようす

パネルディスカッションはまず、抗生剤の飼料への乱用など、講演では深く触れられなかった内容が補足された。また、企業進出の足がかりとして、ユーザーフレンドリーなツール、お薬手帳なども含むトータルでサービス提供や適切なパートナーリングの重要性、ソーシャルメディアを戦略的に活用することなどが提言された。

そして会場からは、医薬品の適正保管、偽薬の流通形態や規制状況、現地での臨床試験の実施などに関する具体性を伴った質問が数多く寄せられ、今回テーマとなったベトナムをはじめ、ASEAN諸国に多くの目が向けられていることが改めて感じられた。

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