公益財団法人 医療科学研究所

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PROJECTS医研の事業

医療科学の研究人材養成を取り巻く環境と課題プロジェクト(2016-2017年度)

プロジェクトのねらいと概要

日本における人口の超高齢化の進行と人口構造の変化、社会保障財源の制約が強まる中で、医療科学の必要性はますます高まっている。

海外では、純粋医学研究とは異なる、広義の医療資源の配分やサービスの質、アクセスなどに主眼を置く、医療研究や医療サービス研究分野の人材養成が進んでいる。しかし、我が国のこの領域を担う人材育成の状況を見ると、多くの課題に直面している。医学系の学部における社会医学の教員ポストは減少傾向にあり、現在そのポストについている者にも遺伝子解析や生化学、臨床医学を基盤とする研究者が増えてきており、医療科学の担い手は減ってきている感がある。経済学や社会学において、海外では医療経済学や医療社会学は大きな領域となっているが、日本ではいまだにメジャーな分野に育っているとは言いがたい。一方で、公衆衛生大学院の増加や社会医学系専門医制度の議論など、変化が見られているが、以上のような状況の中で充分な指導者が確保できているのかどうかの検証がなされていないのが現状である。

本自主研究プロジェクトの目的は、(1)日本における医療科学研究人材養成の現状を把握し、(2)これを先進諸外国の現状と比較することで日本における人材養成の課題とその背景要因を明らかにし、(3)日本における人材養成を推進するためのアクションプランを練り上げ、(4)我が国として、大学やその他の研究機関がどのような取り組みを行うべきかについてまとめることにある。

2016年度は、医療科学の一分野である社会医学の人材養成に焦点を絞り、医学教育が抱える課題、その原因、課題の克服方法を考察し、課題克服のための提言に資する基礎資料をつくることを目的として、大学医学部における社会医学・医療科学の位置づけ、また、これらの分野の社会的ニーズが近年高まる中、医学部がどのように、あるいはどの程度応えているかを調査した。

2017年度は、経済学分野の学会における一般演題のテーマや発表者の変化をたどることで、人材の量的推移を把握し、また現在活躍する中堅・若手を中心とした医療経済学研究者へのインタビューを通して、医療経済学の人材養成をめぐる現状、課題を明らかにすることとした。これらの作業を通じて現存する課題事項を抽出し、それら課題解決の方向性と提言をおこなうことを目的とした。

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