プロジェクトのねらいと概要
COVID-19 パンデミックへの対応をめぐっては、さまざまな危機管理体制上の課題が浮き彫りになっている。中央政府と地⽅⾃治体の役割分担、地⽅⾃治体間の役割分担、中央政府内あるいは地⽅⾃治体内の組織間の役割分担の曖昧さや不適切さが指摘されている。パンデミックへの対応に地域差が存在することや、情報システムの運⽤に不備があることも指摘されている。パンデミックの発⽣から2年以上が経過した現在、この間に明らかとなった危機管理体制の現状と課題に関する知⾒を集約し、今後の危機管理のあり⽅に対する⽰唆や教訓を探ることは、学術的にも政策的にも重要である。
上記のような課題の背景には、危機管理における⾏政構造をまたぐ判断や権限の委譲の仕組みのあり⽅がある。この問題は、⾏政構造をまたいでいるため、医療科学研究所のような独⽴した⽴場にある組織が提⾔を出すことが、今後の政策検討を促すうえでも重要であると考えられる。
⾃主研究プロジェクトとして、「知の構造化研究」という視点から、COVID-19 に限定されない健康危機管理や予防に関わるガバナンスの課題をテーマとして研究を⾏う。
研究成果は報告書やその他の媒体を通じて社会に提⽰して、関係する多くの⽅々に考えてもらうきっかけとする。