公益財団法人 医療科学研究所

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医療科学フォーラムの開催について

公益財団法人医療科学研究所では、若手研究者の研究報告や、医研事業の成果発表を行う「医療科学フォーラム」を不定期に開催しております。
今回は、医研の研究助成対象研究の成果報告を行います。以下に開催要項をご案内いたします。

<日時>
2024年9月30日(月)午後6:00~7:30

<報告>
「産後メンタルヘルスに対する支援ネットワークの充実化:プライマリ・ケア医の意義と役割」
鳴本敬一郎先生(浜松医科大学地域家庭医療学講座)

<抄録>
目的:妊婦・産褥婦の主要な死亡原因の一つである周産期メンタルヘルスにおいて、ケアの責任の所在の明確化や多機関多職種間のケアの統合は依然として課題となっている。諸外国では周産期メンタルヘルスケア(PMHC: perinatal mental health care)におけるプライマリ・ケア医(PCPs: primary care physicians)の役割が明確になっているが、本邦では不明瞭であり、提唱されているPMHC提供モデル図にPCPsは含まれていない。そのため、本研究では、PCPsによるPMHCの実態を探求し、新たなPMHC提供モデル図について考察することを目的とした。
研究方法:Explanatory sequential mixed methods-case study。最初に、産後ケア全般に関する質問票を日本プライマリ・ケア連合学会に所属するPCPsへ配布して横断研究を行った。次に、PMHCの経験があると回答したPCPsそれぞれの診療所をcaseと定義した事例研究(multiple case design)を行った。横断研究ではPMHCに関する項目について記述分析を行った。事例研究では、診療所内の環境や診察の内容・流れを観察し、PCPsへ半構造化個別深層インタビュー、そして診療所スタッフと地域の子育て世代包括支援センタースタッフへkey informant interviewsを行った。質的データはimmersion & crystallizationにより分析した。
結果:339名のPCPsから回答を得た(回答率 5.8%)。診察患者全体の15%(中央値)がメンタルヘルスの健康問題を抱えており、233名(68.7%)のPCPsが日常診療のなかで不安やうつ病のスクリーニングを行っていた。162名(47.8%)のPCPsがPMHC事例を経験しており、多領域の専門職と協働していた。事例研究は4施設で行った。PCPsのPMHCへの関わり方やその程度は様々でありながら、PMHC事例を受け入れる姿勢や体制を整え、診療所内外の資源と協働し、家族全体を視野に入れた継続的で包括的なケアを提供していた。これらはプライマリ・ケア機能を反映しており、PCPsが子育て世代包括支援センターとの相補的関係の中で、PMHCに関わるモデル図が提案された。
結論:本研究のPCPsの多くは日頃からメンタルヘルスケアに従事し、多職種連携を含めてPMHC事例に対応していた。PCPsが子育て世代包括支援センターとの連携を強化し、プライマリ・ケア機能を果たしながらおこなうPMHC提供モデルが示された。

<ウェビナー参加お申し込み>
https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN_lqgCy4zMS3yAN1Gl3SdxoQ
へお申し込みください。お申込みいただいた方には事前配布資料をお送りします。

<この件に関する問い合わせ先>
公益財団法人医療科学研究所事務局
担当:五十嵐、川村
電話:03-5563-1791
メール:jimukyoku@iken.org

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