医療科学フォーラム開催のご案内
公益財団法人医療科学研究所では、若手研究者の研究報告や、医研事業の成果発表を行う「医療科学フォーラム」を不定期に開催しております。
今回は、医研の研究助成対象者に研究報告を行っていただきます。以下に開催要項をご案内いたします。
<日時>
2026年6月23日(火)午後6:00~7:30
<報告>
「『ウェルビーイングと健康まちづくり』プロジェクト」成果報告
内田由紀子先生(プロジェクトファカルティフェロー/京都大学人と社会の未来研究院教授・院長)
※2024-2025年度自主研究事業
<抄録>
【目的】
従来のウェルビーイング研究は個人の幸福や健康に着目されることが多かった一方、人々を取り巻く環境やコミュニティとの関係性を含む概念としてウェルビーイングを位置づける議論も展開されている。本研究は人々の相互作用とそれを支える環境・空間・制度のまとまりを「場」と定義し、場のウェルビーイングについて検討する。場のウェルビーイングに関する研究は発展途上にあり、理論的・方法論的な課題が多く残されている。本研究では自然・建築・アート・歴史が融合し、住民と来訪者が交流する香川県直島町をフィールドとして研究を実施することで、多様な個々人のウェルビーイングが達成されるための場の検討、および測定手法の確立を目指す。
【方法】
本研究では場のウェルビーイングを個人の状態(主観的幸福感・健康状態)、個人間の社会関係とコミュニティ(地域内外の信頼関係や社会関係資本)、直島という場における意味・体験価値(アートや自然に関する体験価値)、空間構造と行動パターン(人流や場所利用から解析される場の特性)の4層から捉えた。これらは具体的には、質問紙調査(住民対象および来訪者対象)、自然言語処理による分析、人流センシング調査の手法を使って検討された。
【結果】
質問紙調査の結果から、直島住民は全国平均と比べてウェルビーイングやコミュニティへの愛着が高い一方、一般的信頼は低かった。また、直島住民は文化芸術への関与が多く、文化芸術に日常的に触れる人や一般的信頼が高い人たちほど瀬戸内国際芸術祭に肯定的であった。加えて、住民は来訪者が自然、歴史、人との交流、規範遵守を重視する程度を低く見積もっていたが、来訪者自身もこれらを重視していた。さらに、自然言語処理による分析では、来訪者のコメントや口コミから各場所の体験価値や評価要因が抽出された。また人流センシング調査により、地理的近接性だけなく、行動パターンに基づく場所間の関係性が示された。
【考察・結論】
直島では、現代アートが多くの来訪者を集める契機となっている一方、場のウェルビーイングを支える基盤は、アートそのものに限らず、住民の日常に根ざした自然、歴史、人との交流、規範意識にあることが示唆された。直島における共創的な場の形成には、アートを通じて地域固有の価値を共有し、住民と来訪者の双方がそれを尊重できる仕組みを整えることが重要であると考えられる。また、本研究の限界点として社会実装に向けた方法の確立やデータ間の結合なども挙げられた。
<参加お申し込み>
以下のURLよりお申し込みください
https://us06web.zoom.us/meeting/register/4buFuKQYRMKPFt4pV0TdNw
※登録後、Zoomから参加に関する情報の確認メールが届きます
※届かない場合、「迷惑メール」に振り分けられている可能性がありますので、そちらをご確認ください
※6月22日までにお申し込みの方には事前配布資料をお送りします
<この件に関する問い合わせ先>
公益財団法人医療科学研究所事務局
担当:五十嵐、川村
電話:03-5563-1791
メール:jimukyoku@iken.org